煙草小屋の一日

かずぃの煙草とお酒と映画についてのブログ

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PARTAGAS 8-9-8 Varnished

パルタガス 8-9-8 バーニッシュ

 

原産国:キューバ     シェイプ:Dalia

リングゲージ:43     長さ:170mm

購入先:Cigar One 25本入キャビネット $207

ボックスコード:GUT-AGO,13

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PARTAGAS の 8-9-8 Varnished は魅力的な葉巻だ。甘み深く作りが良いため、巻かれてすぐでも問題なく味わえる。かといって熟成に向かないわけではなく、十年程度の短期間でよく熟成し味わいと強さを深めていく葉巻で、熟成とはどんなものかを個人で試すのにはうってつけだと思う。僕も10年間熟成されたものを喫って以来どうしても欲しくなり、箱買いしてしまったクチだ。この箱は購入してからもう三年になる。一年目、二年目、三年目ときて四年目になる今年、味わいはどのように変化しているだろうか。

 

理想よりも少しだけ固い吸い込み。着火後、数回喫うと、素晴らしい木質系の香りが立ち込める。原生林とも言えるような香りだ。やや生臭い魚介系のコクも感じる。灰が一つ落ちると、コーヒーの香りが漂い始める。木質系の香りはやや後退、しかし時折前面に出てきて満足感を与えてくれる。このあたりの香味の鮮明さと雑味の無さ、PARTAGAS の中でもこの葉巻は随一の高級感がある。中盤、味わいが濃厚になってくる。一年目~三年目に喫ったものよりも明らかにへヴィで、雑味が減じて甘みがクリアに感じられる。終盤、苦みが出てきてコーヒー感が増す。バニラの香味が華やかに主張して非常に美味しい。ラストまで濃厚さが増してゆく。120分ほどで終了。

 

四年目の現在の状態でも十分に美味しい。ここからどれだけの期間この箱が持つかはわからないが、毎年少しずつ楽しんでいこうと思う。

SAMUEL GAWITH Brown NO.4

サミュエル・ガーウィズ ブラウンNO.4

原産国:イギリス   形態:ロープ煙草

内容量:50g

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本日は SAMUEL GAWITH  Brown NO.4です。

パイプ煙草に葉巻がある! と飛びついたのがきっかけで喫うようになりました。

実際はかなり圧縮して煙草葉を巻いてあるので全く空気が通らず、そのまま葉巻のように喫うことはできませんでした。当たり前ですね。切り口を見ればわかることです。

これをどう喫うか。シガーカッターをお持ちの方は古いシガーカッターで削ぎ切りにしてコイン状のものを何枚か作り、お好みでほぐしてパイプに詰めて喫えば良いです。シガーカッターをお持ちでない方は鋏でチョキチョキとリボンカットほどの幅でロープを切っていき、同じくコイン状のものを何枚か作ってパイプに詰めて喫います。

このパイプ煙草、2世紀もの間、作り続けているそうです。古くは航海時代から続く由緒正しい煙草の製法らしいので、この製品がJTの取り扱いから外されたのは悲しいことです。ぜひまた取り扱いを再開してほしい、それだけの魅力がこのパイプ煙草にはあります。

 

1.喫味

着火すると薫じられたような独特な芳香がまず現れます。そして粉様の甘みとやや強めの煙草感。刺激はかなり強く、喉にきます。どんな種類の葉がどれだけ入っているかは浅学にしてわかりませんが、重すぎもせず軽すぎもしない、甘みもほっこりとして丁度良い、例えるならば焼き芋のように安心感のあるパイプ煙草です。これはまさに平日の夜分にふさわしい強さと味わいで、考え事のお供にはもってこい、邪魔する要素が殆どありません。これをつまらないと考えるか否かはその人次第、少なくとも僕はつまらないパイプ煙草だとは感じませんし、多くの人がこのパイプ煙草が欲しくなるシチュエーションを日常で持っているはずと考えます。フレーバーが葉巻に近いといえば近いかもしれません。少なくとも、葉巻の代用として耐え得る品質です。火種は大きめに維持しないとすぐに消えてしまいます。

 

2.総評

昔、葉巻の吸い殻を喫うためにパイプを購入しました。パイプで喫う葉巻の吸い殻は味が全く異なっていたため、すぐにパイプはお役御免になりました。しばらくして、折角パイプを買ったんだからとパイプ煙草を購入して喫い始めました。安い着香ものばかり喫っていたため、その良さは全く分かりませんでした。パイプに独自の世界があるのに気付いたのは、その後いくつかの銘柄を試してパイプに飽きてきたころに出逢ったSAMUEL GAWITH を喫ってからでした。

SAMUEL GAWITH はパイプスモーカーのほとんどすべての趣向に答えてくれるように感じます。値段もお手頃ですし。さすがはイギリスの老舗メーカーといった所でしょうか。今回の Brown NO.4 はまだ地元の煙草屋さんなら普通に取り扱っていることと思います。そんなに人気のあるパイプ煙草ではありませんから。ぜひ手に取って確かめてみてください。その価値のある煙草だと僕は思います。

 

 

DRUM Original

ドラム オリジナル

原産国:オランダ   内容量:50g

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あまり良い写真ではないですが、ご容赦を。

本日は DRUM Original です。

ここ数か月前まで、僕は手巻煙草用の刻み煙草を喫っていませんでした。葉巻の吸い殻やパイプ葉をグラインダーで砕いて喫っていたのです。葉巻はそのまま捨てるのが惜しくて、パイプ葉は量を貯めこみ過ぎて積極的に消費したかったからです。パイプ葉の消費がある程度終わったので購入してみました。まずは超有名なもの、ということでこちら、DRUM Original です。中を見ると、意外とちゃんとした煙草。葉脈の輪切りみたいなものも入っていて、味わいは深くて濃そうな印象。DRUM にはオレンジ色の表装をした RIZLA という巻紙が付属していたのですが、一本試してみて嫌だったのでそれ以降使用せず、写真にある RAW の巻紙を使用しています。煙草の香りはパイプ煙草の SAMUEL GAWITH の Brown No.4 に近い、出汁の効いたシナモン、削り節、そんな系統の香りです。臭いからも濃厚そうな印象が。

 

1.喫味

どことなくセブンスターに近い印象。バージニアがより濃厚になった感じでしょうか。しかしくどくはない。セブンスターを煮詰めたらこんな感じなのでしょうか。バージニアの甘みが心地良い、これが売れるのもわかります、無難に美味しい。今までセブンスターを喫っていてこれから手巻に移ろうという人がいたら、違和感なく移れるのでお勧めですね。さすがにパイプ煙草の味には敵いませんが、市販の紙巻き煙草よりはパイプ煙草に近い味で、長く喫えることもあって十分な満足感が得られるでしょう。ピリピリとした刺激の強さはちょっと紙巻主流の人は面食らうかも。それなりに強い煙草ですし。10分で終了。

 

2.総評

全く悪くない出来栄えでした。紙巻煙草よりは喫味・ニコチンともに強いですが、後味にこってり残る印象はなく、キレが良い、癖もさほど感じない、バージニア煙草の甘みが好印象。まず DRUM から、という選択肢は悪くないと感じました。

僕は以前紙巻煙草を一日に15本喫っていました。一月あたり大体23箱、10,120円かかっていたわけです。翻ってこの DRUM Original だと、一日10本、一週間に1パック50gを喫いましたので一月で300本4パックなので4,720円、これにフィルターが200個入り380円を2個、巻紙が50枚入り130円を6個使用しましたので、合計で6,260円と半分近くまでコストダウンできます。巻くときに両側にフィルターを付けて巻き、真ん中で切断して喫えばもっと安価になるでしょう。フィルターも口の中に煙草葉が入るのが嫌でなければポストイットで代用できますので、更に安価になります。

問題は巻く手間ですね。喫いたいときにまず巻かなければならないのは苦痛です。巻き貯めするにしても、一本巻くのに一分~二分かかるので、本数が大きくなると結構な労力がかかります。たばこ、巻紙、フィルターのすべてが揃っていなければ巻けないのでどれかが切れたら買いに走らなければならない。不器用な人(僕のことですが)はローリングマシーンという専門の道具が必要になる等々。これらを厭わなければ美味しい煙草が安く喫えるので良いのですが。飽くまで趣味の領域を出ていないと感じました。僕は煙草が趣味なのでこれからも手巻煙草を喫うと思います。

 

DAVIDOFF Limited Art Edition 2014

ダビドフ アート・エディション 2014

原産国:ドミニカ共和国  シェイプ:Perfecto

リングゲージ:54     長さ:151㎜

購入先:Serious Cigar.com

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本日はDAVIDOFF Limited Art Edition 2014です。

箱が綺麗ですよね。ピアノ塗装されたボックスにはキスケヤ・エンリケス氏によるアートが大きくプリントされていて、目を楽しませてくれます。

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ボックス内部はこんな感じ。蓋の裏側まで凝っています。

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中の冊子には5か国語でアートエディションとはどういうものかが記されています。

この年のアートエディションには二種類あり、もう一種類は空色の模様でした。中に入っている葉巻自体は(バンド以外は)同一のものです。上写真の冊子文中の CSR とは Corporate Social Responsibility の略で、企業の社会に対する責任のことです。DAVIDOFF が CSR をどのように捉えているか、シガーブランドとして社会的責任を果たす方法としてアート・エディションを選択した理由、などが書かれています。

DAVIDOFF は高品質な葉巻メーカーとして有名ですが、こういった側面から DAVIDOFF を眺めてみるのも面白そうです。

 

SAN CRISTOBAL DE LA HABANA Oficios(L.C.D.H.)

サン・クリストバル・デ・ラ・ハバナ オフィシオ

原産国:キューバ     シェイプ:Dalias Cortas

リングゲージ:43     長さ:135㎜

購入先:Cigar of Cuba   ボックスコード:EMAーJUN,08

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本日は SAN CRISTOBAL DE LA HABANAOficios です。

 

SAN CRISTOBAL DE LA HABANA は1999年に誕生した、かなり新しいブランドです。

現存するハバナブランドで一番新しいのではないでしょうか。

今回喫う Oficios は La Casa del Habana 限定の葉巻です。

La Casa del Habana というのは、日本語訳すると「ハバナの家」の意で、このシリーズの葉巻はハバノス直営店でしか取り扱いができないことになっています。

「なっています」というのは、おそらく横流しされたであろう葉巻がネットのフェイク屋にも平気で並んでいるからです。

この Oficios 、実は発売当初は「味わいが単調」ということでひどい評価を受けていた葉巻でした。

ちなみにこれは同時に発売された同ブランドの L.C.D.H. 限定葉巻 Mercaderes や Murallas に於いても同様でした。

付け加えて上記三銘柄は2011年に廃盤となっており、特に Murallas は入手するのが難しいと思われます。

僕は例によってこの葉巻、Cigar of Cuba のサンプラーで気に入って購入したのですが、どの葉巻も高品質でチョコレート風味豊かな葉巻だという印象で、個人的にチョコレートは大好物なこともあり、いつか箱買いしてやろうとたくらんでいました。

ただ、僕はこの葉巻を気に入っていますが、味わいが単調であることは否定しません。

かと言って、喫っていて全く味わいに変化が無いわけではなく、じんわりとした変化をする葉巻です。

2006年~2013年発表の葉巻は、悪く言えば「変化に乏しい」葉のブレンド傾向があるように感じます。

購入当初はほぼ味わいに変化がなく、熟成によって変化が生じるように設計されているのかもしれません。

まあ、コロコロと表情を変える葉巻は確かに楽しいですが、好きな味わいを長く保ってくれる葉巻も悪くない。好みに合えばドはまりする類の葉巻だと思います。

そして数年後、廃盤なのにセール価格で販売されていたこの箱をチャンスとばかりに購入したのですが、箱が手元に届いて葉巻を眺めたときの「遂に買った!」という満足感、この箱が今までで一番でした。

購入は2013年でしたが、到着した葉巻は2008年のもの。これは嬉しかったですね。

この時ばかりは Cigar of Cuba に感謝しました。

ただこの店は、今一つ状態の悪い葉巻を送ってくることがあり、状態が非常に悪いものになると、一年以上寝かせてようやく本調子になってくる、なんてこともあります。

僕が葉巻を落ち着かせるのが下手なだけかもしれませんが。

しかしさすが実店舗を構えている店なだけはあり、今までここから購入した葉巻でフェイクに当たったことはありません。

ここで購入した葉巻は、どんなに状態が悪くても、「これフェイクじゃないか?」と感じる葉巻でも、寝かせておけば大体「ああ、やっぱりフェイクじゃなかった」となります、まあそれと気付かずにフェイクを喫っている可能性はありますけれども。

他にもメールにほぼ返信してこないとか必要のあるときは英語でやり取りしなくはならないとか、いろんな意味でここは初心者向けの店ではないかもしれません。

僕は幸いにも Cigar of Cuba では一回しかトラブルに見舞われていませんが、海外通販をされる方はどうぞお気を付けになってください。

ところで、なぜこんな話をここでしたかというと、この葉巻も到着時の状態が非常に悪い葉巻だったからです。

購入当初はサンプラーのうまさはどこへやらという感じでとにかく平坦、枯れ木を燃やしているかのような葉巻でした。

チョコレートの味なんて欠片もありません。

サンプラー並みに美味しく感じられるようになったのは、購入後半年経ってからです。

それから更に三年の時が経ちますが、この葉巻はどう変化しているのでしょうか? 

 

1.着火

見た目は葉脈がやや目立つが美しい外観。ラッパーに艶があり、とても美味しそう。

吸い込みはやや重い。手で丹念にもみほぐしてやると、吸い込みが改善。

着火すると茸の香。それに粉上の甘みが降りかかります。

 

2.前半

茸に木の蜜、煙の粒子が非常に細かい。

草の香味が盛り上がってくる、しかし木と茸は消えずそこにあるのが嬉しい。

木が枯れて枯れ木になってしまう、しかし枯れ木には沢山の茸が生えており、茸は枯れ木から生じるものだから茸との折り合いが悪いわけがない。

酸味を伴う甘味が根底に流れていて、マンゴージュースのよう。

これがとにかく美味い。

実際に茸とマンゴージュースを合わせたらどうなるのだろう、茸の味がずっと残っておいしくなさそうだ、しかしこの葉巻に於いては茸の香味は枯れ木に吸収されるようにすっと消えてくれる、そこにマンゴージュースが盛り上がっては消える、後には何とも言えない甘味と酸味がほんのりと香る、実に良い塩梅。

この茸感は現行 Davidoff あたりでも味わえるし、正直 Davidoff のそれには及ばない。

しかしこの甘味と酸味はどうだろう? 

Davidoffの甘みとは隔絶しているし、比べることはできないが、少なくとも負けてはおるまい、そう感じさせるほど質の高い、マンゴージュース。

チョコレートの香味は片鱗も見せないが、無くとも十分に満足できる内容。

 

3.中盤

前半の内容に更に付け加えて、茸と枯れ木とマンゴージュースの上に粉の甘みが降りかかる。すると茸まで甘くなってくる。

香草の香りが漂い始め、後味に強烈に甘いベリーが一瞬顔を出す。

茸と枯れ木が後退し始め、フルーツ類の香味が主体となってくると、透明感のある甘味と酸味が至福を運んでくれる。

Oficiosに茸を感じたことは以前にもあったがベリー系統はあまり記憶にない、大体がコーヒーやチョコレートなどのビーンズ系の香味主体の葉巻だったはずで、これが欠片もない Oficios は初めて。

 

4.終盤

苦にならないビターさが表れてくる。

すると、茸が復活し、後味をマンゴージュースが支える展開が再び。

フルーツ系の甘みが入れ代わり立ち代わり現れる中、ようやくチョコレートらしき香味に出逢う。

長かった、待ちに待った非常にクリーミーなミルクチョコレート、しかしフルーツが主張するのでこれでは質の良いフルーツをチョコフォンデュで楽しんでいるかのようだ。

しかし一日千秋の想いで待ったチョコレートは一瞬で消え、茸の主張が強まる。

こうなると、美味しい茸もやや邪魔に感じてしまう。

茸とフルーツよりはチョコレートとフルーツの方がどれだけ相性が良いことだろう。

申し訳無さ気に紅茶が漂ってくると、もうチョコレートのプレートは下げられてしまったんだな、と諦めの心境になる。

 

5.ラスト

ふと、チョコレートが復活していることに気付く。

しかし如何せんフルーツの主張が強すぎて完全にチョコレートは脇役である。

弱く吸えば茸が前面に出てくる。かといって強く吸えばミントが主張するフルーツポンチのようで、丁度良い塩梅でチョコレートの香味を引き出すのはこれまたなかなか難しい。

海鮮染みた香味が出てくる中、炊きたての米が続くとこれはもう海鮮丼である。

〆の海鮮丼を平らげて、ミントガムの香味を味わいながら80分で終了。

 

6.総評

部屋の中にはチョコレートの香気がむんむんと立っているのに味わいには影響を及ぼさないとはなんと皮肉な。

チョコレートの味わいを期待していた分には残念でしたが、素晴らしく甘酸っぱいマンゴージュースを味わえたのは収穫でした。

今回のように書くと、Oficios に変化に乏しい印象は無いかもしれませんが、着火~ラストまで、枯れ木と茸とマンゴージュースが sin cos 曲線のように重なりつつ互い違いに主張し合う構図はそう大きく変化がなく、そこにチョコがちょこっと乗ったり(失礼)、ミントガムやベリーが重なったり、最後の海鮮丼はさすがに「なんだこれは」と感じましたが、味わいが平坦な葉巻であること自体は間違いないです。

問題は美味しいかどうかです。

僕は今回の Oficios には十分満足しています。

ただ、茸を味わうなら Davidoff の特別な茸が良いですし、ベリーを味わうならコスタリカ産の葉巻で安価に味わえるので、なんだか微妙に納得がいかないだけです。

口の奥がまだマンゴージュースで満たされている感がありますし、この感覚は余韻を伴ってなかなかに幸せなものです。

ただチョコレートがもう少し味わいたかった、ただそれだけなんです。無念。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

LA ESCEPCION Secretos Finos Edicion Regional Italia 2011

ラ・エセプション セクレトス・フィノス エディション・レジオナル イタリア(2011年)

原産国:キューバ   シェイプ:パレホ

リングゲージ:38   長さ:166㎜

購入先:VIP Cigar   ボックスコード:LEMーNOV,11

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本日は LA ESCEPCION Secretos Finos ER Italia 2011 です。

 

LA ESCEPCION は HOYO DE MONTERREY の姉妹ブランドで、薫り高い葉巻を作るブランドとして有名でしたが、1989年にはブランド自体が消滅しています。

しかし2011年、突如としてイタリアの Edicion Regional として Secretos Finos を発表しました。Secretos Finos の発表は LA ESCEPCION の復活として話題になりました。

Secretos Finos 自体の評判が期待を裏切ることなく大変良かったことに加え、ブランド復活の話題性も重なり、2011年の箱は良く売れたのでしょう、続いて2015年には、同じくイタリアの Edicion Regional としてDon Jose という Robusto タイプの葉巻を発表しています。

この2015年、LA ESCEPCION は Edicion Regional の発表によって、イタリアERとして一定の地位を確立した印象があり、おそらくこれからも Edicion Regional で LA ESCEPCION の新作が発表される機会はあるのではないかと思われます。

個人的には嬉しいところです。

Secretos Finos は一時$320まで価格が下がりましたが、最終的には高いところで£800を超えました。

Don Jose は発表されてから値動きがあまりなく、~€550といった所でしょうか。

イタリアの L.C.D.H.では€375の表記がありますが、購入できるかは不明です。

 

僕が Edicion Regional に興味を持ったのは、Cigar of Cuba の POR LARRANAGA Variosos ER Swiza のサンプラーが美味しかったからです。

葉巻の保管環境が整いだしてからまず集めだしたのが Edicion Regional でした。

レギュラー銘柄に比べてやや高価ではありますが、品質に安定感があること、熟成させなくとも楽しめる葉巻が多いことなどが理由です。

そして極めて個人的な感想ですが、Edicion Regional は発表された国の情景が思い浮かぶような葉巻が多いと感じます。

前述の Variosos ER Swiza は雪山を見上げながらホットチョコレートを飲んでいる情景を、ElL REY DEL MUNDO Aniversario ER Asia Pacifico はまさに日本のビアガーデンでワイワイやっている情景を思い浮かべます。

こういうのって楽しくないですか? 

どことなく海外小説を読むことに似ている、そんな気がして、ついつい色んな国の Edicion Regional を集めてしまいました。

 

さてこの Secretos Finos ですが 、到着当初は HOYO DE MONTERREY の香りに究極的にクローズアップした強烈と言っても差し支えないほどの花の香から、薔薇の巻きついた門や失楽園を思い浮かべていました。

しかし購入後一年も経つと、魅惑的だった花の香は、なりを潜めてしまいました。

すると情景の思い浮かぶことのない葉巻になってしまったのですが、それでもこの葉巻は純粋に葉巻として美味しい。

購入から三年程過ぎて、どんな表情を見せる葉巻になったのか? 

ちょっと御機嫌を伺ってみることにします。

 

1.着火

やや葉脈が浮き出ているが、美しい仕上がり。吸い込みも良好。

着火すると、おがくずの中でほんのりと木の蜜が香る。

喫感は Le Hoyo シリーズのそれと類似したものを感じます。

Le Hoyo シリーズからいくつかの要素を引いて、残りを際どくした感じでしょうか。

良い具合、期待できそう。

 

2.前半

段々とフルーティさが強まっていき、オレンジ調の味わいとなります。

そこに粉の甘みが重なり、実に良い。

強く吸うと香りが際立ち、そこに濃厚なバニラを醸し出してくれる。

もっと時間を置けばさらに美味しくなるのでしょうが、それまでこの箱が持つかどうかはかなり疑問です。

非常に美味しくて手に取りやすい葉巻なので、つい手が伸びてしまいます。

時間を置いて美味しくなるかどうかもこの葉巻については若干疑問があり、購入当初に味わえなかったバニラが味わえるようになった代わりに、鮮烈な花の香や漢方薬の香などの香りが弱まってしまったことを考えると、美味しく吸えるうちに喫ってしまった方がいいのではと考えないでもない、手に取りたいときに喫ってしまうのがおそらくこの葉巻にとっても一番良いのでしょう。

 

3.中盤

バニラにバターが混ざり始め、香草がのり始めます。

COHIBA Seleccion Reserva の 香草の香りに近いかもしれません。

向こうは仮にも COHIBA であり Seleccion Reserva ですので比べるものではないですが、Secretos Finos の煙の粗さはちょっと気になります。

上品な葉巻ではない、しかし上品ではないが気軽に楽しい旨さがあります。

日々の喧騒、街角の普遍、明るい日差しとカフェから見える景色、そんな中でちょっとだけセンチメンタルな。そんな葉巻。

 

4.終盤

変わらずバニラが中心で、バランス的にもいい塩梅。

木の蜜と花の香がうっすらと感じられ、クリーミーさが出てきます。

 

5.ラスト

残りあと三センチくらい。

途端、今までに無いくらい強い花の香が噴出してきて、購入当初の味わいを思い出させてくれました。

あああ、終わってしまう・・・。

名残惜しみながら終了。

 

6.総評

リングゲージ38の葉巻にしては変化が少なく感じましたが、バニラの甘い煙が大変に良かったので問題なし。

味に変化がなくても美味しければ良いのです。

購入当初は「際どいバランスの上に成り立っている葉巻だなぁ」と感じていましたが、今ではだいぶこなれてきた、尖っていた部分がすり減り、そこを押さえつけられていた他の香味が補っているように感じます。

僕はどちらかというと極端なものを求めがちなのでこの変化は少々残念で、香気を逃がさないように葉巻をラップでぐるぐる巻きにしておかなかったのを後悔しています。

しかしもう一方で補われた部分もまた魅力的で、僕にとってのベストは二箱購入して片方をラップで強力に封印しておき、残りを日々楽しむことだったかもしれません。

最後に驚かせてくれましたが、あれはこの葉巻の底力、みたいなものでしょうか? 

最後の強い花の香りはまるで葉巻が「もっと美味しくなるよ!」と言っているようで、やっぱりもう少し時をおいてからのSecretos Finos も試してみたくなってきました。

この葉巻はしばらくお預け、ですかね。

 

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。