SAN CRISTOBAL DE LA HABANA Oficios(L.C.D.H.)
サン・クリストバル・デ・ラ・ハバナ オフィシオ
原産国:キューバ シェイプ:Dalias Cortas
リングゲージ:43 長さ:135㎜
購入先:Cigar of Cuba ボックスコード:EMAーJUN,08
本日は SAN CRISTOBAL DE LA HABANA の Oficios です。
SAN CRISTOBAL DE LA HABANA は1999年に誕生した、かなり新しいブランドです。
現存するハバナブランドで一番新しいのではないでしょうか。
今回喫う Oficios は La Casa del Habana 限定の葉巻です。
La Casa del Habana というのは、日本語訳すると「ハバナの家」の意で、このシリーズの葉巻はハバノス直営店でしか取り扱いができないことになっています。
「なっています」というのは、おそらく横流しされたであろう葉巻がネットのフェイク屋にも平気で並んでいるからです。
この Oficios 、実は発売当初は「味わいが単調」ということでひどい評価を受けていた葉巻でした。
ちなみにこれは同時に発売された同ブランドの L.C.D.H. 限定葉巻 Mercaderes や Murallas に於いても同様でした。
付け加えて上記三銘柄は2011年に廃盤となっており、特に Murallas は入手するのが難しいと思われます。
僕は例によってこの葉巻、Cigar of Cuba のサンプラーで気に入って購入したのですが、どの葉巻も高品質でチョコレート風味豊かな葉巻だという印象で、個人的にチョコレートは大好物なこともあり、いつか箱買いしてやろうとたくらんでいました。
ただ、僕はこの葉巻を気に入っていますが、味わいが単調であることは否定しません。
かと言って、喫っていて全く味わいに変化が無いわけではなく、じんわりとした変化をする葉巻です。
2006年~2013年発表の葉巻は、悪く言えば「変化に乏しい」葉のブレンド傾向があるように感じます。
購入当初はほぼ味わいに変化がなく、熟成によって変化が生じるように設計されているのかもしれません。
まあ、コロコロと表情を変える葉巻は確かに楽しいですが、好きな味わいを長く保ってくれる葉巻も悪くない。好みに合えばドはまりする類の葉巻だと思います。
そして数年後、廃盤なのにセール価格で販売されていたこの箱をチャンスとばかりに購入したのですが、箱が手元に届いて葉巻を眺めたときの「遂に買った!」という満足感、この箱が今までで一番でした。
購入は2013年でしたが、到着した葉巻は2008年のもの。これは嬉しかったですね。
この時ばかりは Cigar of Cuba に感謝しました。
ただこの店は、今一つ状態の悪い葉巻を送ってくることがあり、状態が非常に悪いものになると、一年以上寝かせてようやく本調子になってくる、なんてこともあります。
僕が葉巻を落ち着かせるのが下手なだけかもしれませんが。
しかしさすが実店舗を構えている店なだけはあり、今までここから購入した葉巻でフェイクに当たったことはありません。
ここで購入した葉巻は、どんなに状態が悪くても、「これフェイクじゃないか?」と感じる葉巻でも、寝かせておけば大体「ああ、やっぱりフェイクじゃなかった」となります、まあそれと気付かずにフェイクを喫っている可能性はありますけれども。
他にもメールにほぼ返信してこないとか必要のあるときは英語でやり取りしなくはならないとか、いろんな意味でここは初心者向けの店ではないかもしれません。
僕は幸いにも Cigar of Cuba では一回しかトラブルに見舞われていませんが、海外通販をされる方はどうぞお気を付けになってください。
ところで、なぜこんな話をここでしたかというと、この葉巻も到着時の状態が非常に悪い葉巻だったからです。
購入当初はサンプラーのうまさはどこへやらという感じでとにかく平坦、枯れ木を燃やしているかのような葉巻でした。
チョコレートの味なんて欠片もありません。
サンプラー並みに美味しく感じられるようになったのは、購入後半年経ってからです。
それから更に三年の時が経ちますが、この葉巻はどう変化しているのでしょうか?
1.着火
見た目は葉脈がやや目立つが美しい外観。ラッパーに艶があり、とても美味しそう。
吸い込みはやや重い。手で丹念にもみほぐしてやると、吸い込みが改善。
着火すると茸の香。それに粉上の甘みが降りかかります。
2.前半
茸に木の蜜、煙の粒子が非常に細かい。
草の香味が盛り上がってくる、しかし木と茸は消えずそこにあるのが嬉しい。
木が枯れて枯れ木になってしまう、しかし枯れ木には沢山の茸が生えており、茸は枯れ木から生じるものだから茸との折り合いが悪いわけがない。
酸味を伴う甘味が根底に流れていて、マンゴージュースのよう。
これがとにかく美味い。
実際に茸とマンゴージュースを合わせたらどうなるのだろう、茸の味がずっと残っておいしくなさそうだ、しかしこの葉巻に於いては茸の香味は枯れ木に吸収されるようにすっと消えてくれる、そこにマンゴージュースが盛り上がっては消える、後には何とも言えない甘味と酸味がほんのりと香る、実に良い塩梅。
この茸感は現行 Davidoff あたりでも味わえるし、正直 Davidoff のそれには及ばない。
しかしこの甘味と酸味はどうだろう?
Davidoffの甘みとは隔絶しているし、比べることはできないが、少なくとも負けてはおるまい、そう感じさせるほど質の高い、マンゴージュース。
チョコレートの香味は片鱗も見せないが、無くとも十分に満足できる内容。
3.中盤
前半の内容に更に付け加えて、茸と枯れ木とマンゴージュースの上に粉の甘みが降りかかる。すると茸まで甘くなってくる。
香草の香りが漂い始め、後味に強烈に甘いベリーが一瞬顔を出す。
茸と枯れ木が後退し始め、フルーツ類の香味が主体となってくると、透明感のある甘味と酸味が至福を運んでくれる。
Oficiosに茸を感じたことは以前にもあったがベリー系統はあまり記憶にない、大体がコーヒーやチョコレートなどのビーンズ系の香味主体の葉巻だったはずで、これが欠片もない Oficios は初めて。
4.終盤
苦にならないビターさが表れてくる。
すると、茸が復活し、後味をマンゴージュースが支える展開が再び。
フルーツ系の甘みが入れ代わり立ち代わり現れる中、ようやくチョコレートらしき香味に出逢う。
長かった、待ちに待った非常にクリーミーなミルクチョコレート、しかしフルーツが主張するのでこれでは質の良いフルーツをチョコフォンデュで楽しんでいるかのようだ。
しかし一日千秋の想いで待ったチョコレートは一瞬で消え、茸の主張が強まる。
こうなると、美味しい茸もやや邪魔に感じてしまう。
茸とフルーツよりはチョコレートとフルーツの方がどれだけ相性が良いことだろう。
申し訳無さ気に紅茶が漂ってくると、もうチョコレートのプレートは下げられてしまったんだな、と諦めの心境になる。
5.ラスト
ふと、チョコレートが復活していることに気付く。
しかし如何せんフルーツの主張が強すぎて完全にチョコレートは脇役である。
弱く吸えば茸が前面に出てくる。かといって強く吸えばミントが主張するフルーツポンチのようで、丁度良い塩梅でチョコレートの香味を引き出すのはこれまたなかなか難しい。
海鮮染みた香味が出てくる中、炊きたての米が続くとこれはもう海鮮丼である。
〆の海鮮丼を平らげて、ミントガムの香味を味わいながら80分で終了。
6.総評
部屋の中にはチョコレートの香気がむんむんと立っているのに味わいには影響を及ぼさないとはなんと皮肉な。
チョコレートの味わいを期待していた分には残念でしたが、素晴らしく甘酸っぱいマンゴージュースを味わえたのは収穫でした。
今回のように書くと、Oficios に変化に乏しい印象は無いかもしれませんが、着火~ラストまで、枯れ木と茸とマンゴージュースが sin cos 曲線のように重なりつつ互い違いに主張し合う構図はそう大きく変化がなく、そこにチョコがちょこっと乗ったり(失礼)、ミントガムやベリーが重なったり、最後の海鮮丼はさすがに「なんだこれは」と感じましたが、味わいが平坦な葉巻であること自体は間違いないです。
問題は美味しいかどうかです。
僕は今回の Oficios には十分満足しています。
ただ、茸を味わうなら Davidoff の特別な茸が良いですし、ベリーを味わうならコスタリカ産の葉巻で安価に味わえるので、なんだか微妙に納得がいかないだけです。
口の奥がまだマンゴージュースで満たされている感がありますし、この感覚は余韻を伴ってなかなかに幸せなものです。
ただチョコレートがもう少し味わいたかった、ただそれだけなんです。無念。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。